一粒でマルチにおいしい、栄養素の宝庫
食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、からだが喜ぶ栄養素がたくさん。
中でも雑穀は、米や小麦に比べて、一般的に食物繊維やビタミン、ミネラルが多く含まれているんです。
例えば、オーツ麦に含まれる食物繊維の量は、お米のなんと19倍! ほかにも、血液中のヘモグロビンを構成する鉄分はお米の5倍、筋肉の疲労や筋肉痛を和らげたりする効果がある水溶性ビタミン・ビオチンは16倍も含まれています(*1)。

そのほか、からだにいい栄養素としてこんなものも。
<ビタミン>
ビタミンB1・・・糖質をエネルギーに変え、疲労を回復させる
ビタミンB2・・・脂質の分解をサポートする
ビタミンB3(ナイアシン)・・・二日酔いの原因になるアセトアルデビドを分解する酵素の働きをサポートする
<ミネラル>
カリウム・・・ナトリウム(塩分)を排出し、むくみを解消する
マグネシウム・・・体温調整に重要な役割を果たし、夏の暑さ対策や熱中症の予防に
リン・・・カルシウムとともに骨や歯を形成する
小さな一粒に、いろんな栄養素がぎゅぎゅっと詰まっているんですね!
食物繊維を摂るなら、ぜひ穀物から
「穀物繊維」を多く摂ると、さまざまな健康効果が期待できます。

雑穀に含まれるさまざまな栄養素の中でも、特に注目したいのが食物繊維です。
食物繊維は野菜や果物にも含まれていますが、特に穀物に含まれる食物繊維を指す「穀物繊維」が近年注目を集めています。
ひと口に食物繊維と言っても、穀物に含まれる食物繊維と、野菜や果物に含まれる食物繊維とは成分が違っています。近年の研究で、穀物繊維を積極的に摂ることによるさまざまな健康効果が明らかにされてきました。
例えば、穀物由来の食物繊維の摂取量が1日10g増えるごとに、ガンや脳卒中、心臓病などその他すべての要因による総死亡リスクが18%減ったというデータがあります。 さらに、2型糖尿病の発症リスクは25%、大腸がん発症リスクは10%低減されると言われています(*2)。
さらに、穀物繊維の摂取量が増えると、BMIや体脂肪率、体幹脂肪量が減少するというデータがあります(*3)。
食物繊維は主食から摂取する量が一番多いので、雑穀を加えた雑穀ごはんを主食にすれば、食物繊維の量を手軽に増やすことができます。
噛む力を育み、血糖値の急上昇を防ぐ
「噛むこと」が脳を活性化して、集中力の維持や記憶力アップにつながります。

実は雑穀の健康効果は、栄養素だけじゃないんです。
まずは「噛みごたえ」。雑穀ごはんは白米よりも噛みごたえがあるため、咀嚼回数が増え、自然と食事がゆっくりに。すると、満腹中枢が刺激されるまでに時間がかかるため、一度に食べ過ぎてしまうことを防げます。また、たくさん噛むと消化もしやすくなり、栄養素がより速く吸収され、満腹感も得られる、というわけです。
さらに、「噛むことは脳の活性化につながる」ことを科学的に証明した研究も発表されています。ストレスを軽減したり、記憶力アップにつながる効果も期待されているそうです。
それから、精白された白米に比べてGI 値が低めである雑穀は、食後の血糖値の上昇がゆるやか。インスリンが適度に分泌されるので血糖値が急激に変動することがありません。その結果、眠くなりにくく、集中力の維持が期待できます。
栄養面でも、それ以外でも、からだにとっていいことづくめの雑穀のチカラ。毎日の主食に取り入れて、その効果を感じてみてくださいね。
(*1)文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より、
「オーツ麦」は「えんばく オートミール」を、「お米」は「こめ [水稲穀粒] 七分つき米」を参照。(可食部100gあたりに含まれる量で比較)
(*2)Front Nutr. 2023 Oct 3:10:1153165.
(*3)J Nutr. 2009 Oct; 139(10): 1950–1955.
参考文献
『食べ物と健康、食品と衛生 食品学各論 第4版』小西洋太郎/辻英明/渡邊浩幸/細谷圭助、講談社(2021)
『糖質から食物繊維・甘味料成分まで 炭水化物の摂り方・選び方パーフェクト事典』竹並恵里 監修、ナツメ社(2022)
参考Webサイト
大麦ラボ
国民健康・栄養調査(令和5年)
噛むこと研究室